週刊朝日 2022年10月7日号より
週刊朝日 2022年10月7日号より

 年金制度の中では、専業主婦は国民年金の「第3号被保険者」になる。20~59歳で、会社員の夫の被扶養者なら「3号」でいられる。いくつか年上のことが多い夫は、今や60代前半は会社で働き続けるケースがほとんどだ。したがって専業主婦も「3号」のまま60歳を迎える人が多い。

 さあ、問題はそこからだ。冒頭のAさんが行ったように、国民年金に「任意加入」するところから年金増額策は始まる。

【STEP1 任意加入】

 任意加入は、まさに未加入や保険料を納められなかった期間がある人のために設けられている制度だ。一定の条件を満たす本人が申し出れば、60歳から65歳まで最長5年間入れる。ただし、59歳までの分と合わせた加入期間が、国民年金の加入上限である「40年(480月)」に達したら、そこで終了となる。

 任意加入できる期間は、今年度の「ねんきん定期便」なら【480月-20歳~59歳の加入月数】で自分のケースがわかる。任意加入しておけば、多くの専業主婦が5年間のうちに「満額」の老齢基礎年金をもらえるようになるだろう。

 増える年金額は「1620円×加入月数」で、5年間丸々加入できる人なら最大で年間「9万7200円」増やせる。しかも老齢基礎年金は終身年金だから、それが死ぬまでもらえる。

 保険料は今年度は月1万6590円、1年で約19万9千円だ。1年加入すると1万9440円(1620円×12)年金が増えるから、65歳から年金受給を始める場合だとちょうど10年で元が取れる。つまり75歳以上生きると、長生きするだけ得になる。

 保険料は口座振替が基本で、まとめて払う「前納」も6カ月、1年、2年と3パターンが用意されている。2年前納だと1カ月弱分の1万5790円もお得になるから、それらを利用すると元が取れる期間がさらに短くなる。

 女性は長生きの人が多く、さらに後述する「おひとりさま対策」のことを考えると、60代前半での任意加入は必須といえるのではないか。

 その上、国民年金に任意加入すると、さらに年金を上積みできる「資格」が得られる。国が国民年金の加入者向けに用意している「上乗せ年金」に加入することができるのだ。

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