秦正理
今年のドラフト会議で指名される高校生は誰か。あの選手が欲しい、この選手をプロで見てみたいと、ファンはさまざまに想像をめぐらせているだろう。夏の甲子園に出場した高校球児の有望株をプロの目で分析してもらった。
近江（滋賀）の山田陽翔は、エースで4番として投打に活躍。同校の2年連続4強入りの原動力となった。巨人の元編成担当で、WBC日本代表のスコアラーも務めた三井康浩氏はこう評価する。
「ドラフト1位レベルで、2位までには消える素材でしょう。高卒でプロ入りしても、半年ほどで一軍に上がってこられる選手だと見ています」
山田評でまず口をついて出たのがその精神面。
「打者に向かっていく姿勢、メンタルは非常にプロ向きです。打者としても思い切りのいい強振に、数少ない甘い球を捉えられるセンスの高さがありますが、やはり投手として育てたい」
体格も身長こそ170センチ台と低めだが、肩回りの筋肉にどっしりとした足腰があり、体の強さも魅力的に映る。さらに、その投球フォームも評価が高い点だという。
「肩を上げて、回転させながら上から投げ下ろそうとするフォームは天性のもので、練習して簡単にできるものではありません。このフォームによって角度のある球を投げられる。身長の低さをカバーできているのです」
日本代表に選出されたU18ワールドカップ（W杯）での活躍を受けて、三井さんは起用法にも言及。
「低めに曲がりの鋭いスライダーを放れますし、強気な精神面も考えれば、短いイニングでの起用が向いています。プロ入りすれば最初は先発で使われるでしょうが、将来的にはストッパーがもっとも持ち味を発揮できるのでは」
その山田と甲子園で対戦し、強烈な本塁打も放った高松商（香川）の浅野翔吾は、野手ではナンバーワンの評価。
「彼は1位で消える選手。強打の外野手で、スケールの大きな右の大砲となれば、将来の中軸候補としてどの球団も欲しい人材です。西武やソフトバンク、オリックスなど、長打が魅力のチームに入ると才能をより開花させることができると思います」
秦正理
ニュース週刊誌｢AERA｣記者。増刊｢甲子園｣の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。
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