批判の声が出るのはスター選手の宿命ともいえる。今から7年前の15年。野球評論家の張本勲氏がTBS系情報番組「サンデーモーニング」の放送中に、当時J2・横浜FCでプレーしていたカズに言及し、「(J2は)野球で言えば2軍のようなもの。カズファンには悪いけどもうお辞めなさい」とコメントした。引退勧告とも取れる発言が大きな反響を呼んだが、カズは「『もっと活躍しろ!』と言われているんだと思います。激励だと思って頑張ります」と返した。張本氏はその後の同番組の放送で、「カズに”あっぱれ”あげてください。こんなことを言う人いるのかね。辞めた方がいいと言われて、普通ならクレームをつける。それをさらりとかわして、先輩からの助言だと言ってくれる。男らしいというか腹が据わっている」と絶賛していた。

 「晩節を汚している」など揶揄されても、カズは必要とされるクラブでプレーし続けるだろう。55歳になっても汗を流し、ピッチを駆け回る。もっとうまくなりたいという情熱は10代、20代の頃から変わらない。そのひたむきな姿に勇気づけられているファンがたくさんいることも事実だ。(梅宮昌宗)

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