JFLの開幕戦でプレーする三浦知良(右)
JFLの開幕戦でプレーする三浦知良(右)

 サッカー日本フットボールリーグ(JFL)で鈴鹿ポイントゲッターズに所属するカズことFW三浦知良が4日、三重県の四日市市中央陸上競技場で行われたヴィアティン三重戦で約3カ月半ぶりに復帰出場を果たした。5月に右脚付け根痛で戦線離脱していたが、3か月半ぶりに後半35分から途中出場。自身が持つリーグ最年長出場記録を55歳190日に更新し、2―0とチームの勝利に貢献した。

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 サッカー編集者はカズの動きに関して、こう分析する。

「復帰戦では上々のパフォーマンスだったと思います。左サイドでボールをきっちり収めてパスを回していた。ポジション取りはさすがですよ。ペナルティエリアでもボールがこぼれてくればゴールできる場所にきっちり詰めていた。シュートはゼロに終わりましたが、2点リードで逃げ切る試合展開を考えると強引にシュートを打つことは求められていない。コンディションを上げていけば、出場時間も増えると思います」

 この試合は三重県同士のクラブが激突する「三重ダービー」で、試合も普段以上に熱気に包まれていた。カズが出場した際は相手サポーターからも大きな拍手が送られた。まさに「生きるレジェンド」だが、ネット上では「引き際を間違えないで。若手の出場機会を奪っている」、「ゴールを決めたならともかく55歳の出場で最年長記録と言われてもね。ただ出場していることだけに何の価値があるのか」など辛らつな声が目立つ。

 欧州サッカーを取材する通信員は、カズに対する批判の声に異を唱える。

「カズが若手の出場機会を奪っていると言いますが、監督が納得するパフォーマンスを見せればベンチに入れるし、スタメン出場できる。J1、J2ならともかくJFLでこういった指摘が出ることに疑問を覚えます。欧州だったらプレーの質が批判の対象になりますが、下部リーグで『客寄せパンダ』を理由に叩かれることはない。集客能力が高いということは選手として立派なステータスですから。ただ、カズは客寄せパンダではない。全盛期に比べて体のキレ、スピードは落ちましたが、ボールさばき、オフザボールの動きの質は若手が見習うべき点が多い。カズが歩んできたキャリアは、海外のスター選手からもリスペクトされている。サッカーに向き合う姿勢、戦術眼など共にプレーする鈴鹿の選手たちはプラスアルファになることが多いでしょう」 

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