その後、メインステージのスクリーンにデビューが決まったときの映像が流れた。映し出されたのは、あどけない表情のメンバーが全身で喜びをはじけさせる様子。続いて、これまでのライブ映像も流れ、7人のこれまでの歩みをたどった。

 映像が終わると、会場を包みこんでいた暗闇を引き裂く爆発音。ステージ下から7人が飛び出す。「FIRE BEAT」の始まりだ。ダークグリーンの衣装に着替えた彼らはセンターステージで髪を振り乱し、激しく踊る。吹き上がる火柱、爆ぜる花火の音に、会場はさらにヒートアップ。ベースの音に、力強い歌声がのる。フィナーレへ向けて、さらにステージは熱を帯びる。続く楽曲も、ノンストップで歌い、踊り、駆け抜けた。

 2時間超つづいたライブもいよいよ最後の楽曲に。メンバーが選んだのは、「足音」。彼らの軌跡とファンへの感謝の気持ちが込められた曲を、しっとりと歌い上げた。モニターには、これまでのライブの写真やロゴが映し出され、観客は7人のこれまでの歩みに思いを馳せた。締めの言葉を担当したのは玉森。「本日はどうもありがとうございました。本当に改めて、当たり前なんてことはないんだなと思うからこそ、今日一緒に過ごせて時間がとっても幸せでしたし、僕らにとっても大切な思い出となりました。そして、いつも大きな愛とパワーをありがとうございます。これからも僕らの歩む道にはいつもみなさまがいてください。また遊びに来てください。いつまでも元気で健康で。ありがとうございました」。メインステージで客席に背を向けて立つ7人が、一歩を踏み出し、会場は暗転。それぞれのメンカラに染まった「Kis-My-Ft2」の文字で形作られた大きな足跡がモニターに映し出され、7つの光が四方に散った。その先で七色の花のバルーンが、大輪の花を咲かせた。

 この日のライブで歌い上げたのはアンコールも含め全36曲。デビューから11年目を迎えたKis-My-Ft2が、昨年は踏み出せなかった大きな一歩を踏み出した。これまでの感謝を胸に、彼らはこれからも進んでいく。ファンとともに。

(週刊朝日・唐澤俊介)

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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