3月2日付の抗議声明では「戦争は人々の命と暮らし・若者の未来を奪い、対立や憎しみを生み、文化や環境を破壊し、民主主義を支える基盤を奪う最大の暴力であり人権侵害です。(中略)平和を求める世界中の人々と連帯し、『戦争反対』を強く訴えます」と強く主張。21日のプーチン大統領宛ての緊急署名には「ウクライナへの軍事侵攻と核兵器使用の威嚇などに抗議します。直ちに戦争をやめてください」と、英語と日本語で書いた。

 当日参加した同ゼミナールメンバーは、呼びかけに応じた小中学生も含めて16人。持参した署名は、SNSなどを通じて約1週間で5212筆集まったという。

 若者の声を政党や政府へ提言する一般社団法人「日本若者協議会」代表理事の室橋祐貴さん(33)にも聞いた。

「協議会内でも『台湾・沖縄有事に備えるべきだ、今の防衛体制で良いのか?』『憲法論議もすべきだ』という声が今までより高くなっています。それに対し、『戦後の平和は現在の憲法によって守られてきた。むしろ、日本国憲法の精神を世界に発信すべきだ』との意見もあります。どちらかと言えばこれまでひとごとのようなテーマでしたが、議論の対象になるのは良いことだと思います」

 最近の若者に多い傾向としては、ジェンダーや同性婚を認めるリベラルなところもあるが、生活面では現状維持の思考が強く、保守的という。

「ウクライナの現状を見て、『防衛は他国には頼れない』というように何事も現実的に考えるのです。ですから7月の参議院選挙は、立憲民主党や共産党らのこれまでの主張が、どこまで若い世代に支持されるのか? 大いに注目されると思います」

 政治や世界情勢に関心を持つ若い世代が増えるのは、今後の日本にとってはうれしいことだ。(高鍬真之)

週刊朝日  2022年4月8日号