トヨタ自動車の生産ライン
トヨタ自動車の生産ライン

 原材料などコスト上昇のなか、市場シェアが大きい大手食品会社は、商品に価格転嫁しやすいとみるのが松井証券の窪田さん。日本たばこ産業、キッコーマン、山崎製パン、味の素、キリンホールディングスを挙げる。

 景気の動向が不透明になっても、着実な需要が見込まれる業界も期待だ。フィスコの小林さんは、光ケーブルなど通信インフラ整備が活発とし、電線大手の古河電気工業と住友電気工業に注目する。

 松井証券の窪田さんは、日本電信電話、KDDI、ソフトバンクを挙げ、「手堅い」と話す。

 金融引き締めにより、従来のように、「じゃぶじゃぶのお金が株式市場に向かった環境ではなくなる」とみるのが、岡三証券の小川佳紀・投資情報部長。銘柄選びが難しくなり、「質を伴っている企業に資金が集中していく」(小川さん)。

 小川さんの注目株は、世界展開をして地力のある企業で、トヨタ自動車、ダイキン工業、信越化学工業を挙げる。着実に利益を伸ばしていける企業として、東京エレクトロン、リクルートホールディングス、テルモ、デンソーにも注目する。

 株でなくREIT(不動産投資信託)だが、小川さんは星野リゾート・リート投資法人も挙げる。REITは、投資家から集めた資金で不動産などを購入し、賃料収入などを分配するもの。星野リゾートは高級旅館やホテルなどの運営に特化。コロナ問題が落ち着いても海外旅行の回復は難しいとみて、小川さんは、富裕層などが「国内でちょっといいところに行って泊まる」と予想する。

 インフレになれば「安定した大企業、優良株がいいのでは」と話すのがマネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト。

 広木さんのお薦めは日本を代表する企業だが、一般投資家に魅力的な配当利回りの高い企業として、日本たばこ産業、ENEOS、電源開発を挙げる。

 さらに株主優待は株式投資で「亜流」だが、一般投資家には魅力的と広木さんはみており、オリックスや日本製紙に注目している。

 インフレでは預金の価値が目減りしていく。リスクを考えながら、銘柄を厳選した株投資も一つの防衛策かもしれない。(本誌・浅井秀樹)

(週刊朝日2022年2月18日号より)
(週刊朝日2022年2月18日号より)

週刊朝日  2022年2月18日号