小沢一郎氏 (撮影/写真部・高野楓菜)
小沢一郎氏 (撮影/写真部・高野楓菜)

──自民党の総裁選が注目されています。18日の日本記者クラブでの討論会をどう見ましたか。

「党内議論が活発化しているとは感じられず、盛り上がりを欠きました。河野太郎氏は一定の年金額を保障する『最低保障年金』の創設に言及しました。財源は消費税を増税して充てるという。09年に民主党政権が最低保障年金を提案した時、給付額を月7万円とし、高所得者への給付を削減・廃止しても約13兆円かかると試算した。当時、自民党はさんざん批判したが、今回、河野氏は具体的な年金額も、消費税率をどれくらい引き上げるかも明言しませんでした」

──河野氏は脱原発が持論だったのに、原発再稼働も認めています。

「やはり脱原発を公言している小泉進次郎氏も河野氏の支持に回っていますが、そういう矛盾点を他の候補者たちはなぜもっと強く問いたださないのか。岸田文雄氏もアピール力が弱い。天下を取ろうという人たちなのだから、年金改革も原発も曖昧にしていていい問題ではありません。国民も呆れているのではないでしょうか」

──森友・加計問題や「桜を見る会」など政権を巡る疑惑について再調査を明言しているのは、野田聖子氏だけです。

「まったく反省がないし、僕はいまの自民党で改革はできないと思っています。誰が総裁になっても同じでしょう。こんな体たらくでは自民党に支持が集まるはずがないのですが、一方の野党も影が薄いとなると、国民の政治不信につながります。そうなるといよいよ民主主義の危機です」

──しかし、新総裁が選出されると、「ご祝儀相場」で自民党の支持率が上がる可能性があります。

「日本人は情緒的でお人好しのところがある。目先の看板が変わるだけで、何かをやってくれるんじゃないかと期待感を抱いてしまいがちです。10月4日に臨時国会を召集して首班指名、その後は党役員人事と内閣の閣僚人事です。毎日、与党のニュースばかりで、メディアは自民党の広報担当のようになっています」

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