──菅さんが相手のほうがよかった?

「菅政権のままであっても、そう簡単に勝てるものではない。自民党というのは、こういう危機的な時には底力を発揮します。いくら菅首相の人気が落ちても、個々の衆院議員の選挙が弱くなるというものではありません。まして、総理が新しい顔になると野党は大変です」

──立憲と共産はまだ約70カ所の小選挙区で候補者が競合しています。

「共産党との選挙協力は不可欠です。09年衆院選では、民主党単独で勝てました。例えば、東京では25小選挙区のうち21選挙区を制することができました。しかし、いまの状況では、共産党に全国で候補者を立てられたら非常に厳しい」

──国民民主党や連合は、共産との共闘路線から距離を置いていますが。

「野党が協力して、候補者を一本化すれば勝てる選挙区はいくらでもある。要は、自民党に選挙で勝って政権を取る気があるのかないのか、どっちなんだということです。国民民主や連合の主張をみていると、共産党が嫌いだから政権もいらないという話になってしまっている。これまでの仕組みを変えようとすれば、軋轢(あつれき)が生じるのは仕方がない。枝野代表には、あちこち気兼ねしないで思い切ってやってほしい」

──衆院選の勝算は。

「このままでは勝てません。いまこそ大胆な政策を掲げるべきです。すぐにでも着手すべき問題は、コロナ対策だけではありません。いま、日本の非正規雇用の割合が雇用者全体の約40%を占め、相対的貧困率も高まっている。日本の国民1人当たりのGDP(国内総生産)は、かつてOECD(経済協力開発機構)諸国で2位でしたが、近年は20位前後にまで低迷しています。この状況を変えるために思い切った経済政策を打ち出せば、必ず勝てます。僕らには次の次を狙うという選択肢などない。今度の衆院選で政権交代を実現し、国民の生活が第一の政治を行うという気概こそが、国民から求められているのです」

(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2021年10月8日号