岸部一徳 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
岸部一徳 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 新作映画「総理の夫」で、初の女性総理と連立を組む政界のドンを演じる俳優の岸部一徳さん。作家の林真理子さんが、口数が少なかった子ども時代のこと、ザ・タイガース時代の記憶や演技への思いなどをうかがいました。

【林真理子さんとのツーショット写真はこちら】

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岸部:林さんのこの対談、もう長いんでしょう?

林:はい。去年のはじめに1千回を超えました。岸部さんには、10年前に一度出ていただいたんですよね。

岸部:あ、そんなに前になりますか?

林:映画「大鹿村騒動記」のときでした。あれはあの年の映画の賞を総なめにしましたよね。

岸部:そうでした。あの作品は、原田(芳雄)さんの遺作になったんですよ。

林:そうだったんですね。今度の「総理の夫」という映画(9月23日全国公開)で、岸部さんは、日本初の女性総理(中谷美紀)と連立を組む政界のドンの役をなさってますね。私、野田聖子さんと親しくて、このあいだこの映画のことを話したら、野田さん、「原作(『総理の夫 First Gentleman』原田マハ)を読んでるから、映画、見てみたいな」と言っていましたよ。

岸部:そうですか。

林:この映画みたいな夫(田中圭)がいてくれたらどんなに素晴らしいかと思いますよ。奥さんの成功を自分のことのように思って、愛しながらサポートをしていて。

岸部:はい。政治が題材なので、マジメといえばマジメな映画ですけど、ちょっとコメディーっぽいところもあるから、楽しく見られると思いますね。

林:この作品には、基本的にいい人ばっかり出てくるなかで、いかにも政界の奥深い闇をあらわしているのが岸部さんですよね。岸部さんが出てくると、それだけで存在感があって、「政界の鵺(ぬえ)」と言われている二階(俊博=自民党幹事長)さんを想像してしまいましたよ(笑)。

岸部:そうですか(笑)。まあ、実際の政界では、むしろフィクション以上にいろんなことがあるんでしょうけどね。

林:そうですね。映画に出てくる、総理の記者会見場とか、国会議事堂の中の委員会室とかがとてもリアルで、映像がよくできていますよね。あれは学士会館で撮ったんですか。

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