「それこそ昔は人生のゴール間際で世の中のこともわかり、人格もできあがっている“大人”という印象があったんです。でも、実際の自分は、こんなにしっかりしてない50代もいるの、ってぐらい頼りない。ただ、友人たちを見ると、離婚したり、この年で恋愛するの!?みたいなことも平気でしているので、まだまだ元気な年代なんだなあ、と。たぶんこれからも悩むし、迷うだろうけど、新しい人生にも足を踏み出せる、そんな最後の年代かなって気がします」

 最後に読者へのメッセージを。

「人生の見直しは定期的にすべきだと思います。もし、思うようにいかなくなっているのなら時々立ち止まって、このままでいいのか、それとも方向性を変えるべきかを考えてほしい。そういうことの大切さをこの小説を読んで何となくでもいいので気がついてもらえたら、と思います」

(大西展子)

週刊朝日  2021年8月13日号