※写真はイメージです (GettyImages)
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「そういえば最近、若いお笑い芸人をテレビで頻繁に見かける」という印象をお持ちではないか。実はいま、テレビ各局が競うように“若返り路線”を進めている。次世代の視聴者を獲得するためといい、重点ターゲットは「40代まで」。まるで50代以上は眼中にないかのような勢いだ。

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 見慣れていたテレビの長寿番組が、どんどん姿を消している。

 この春だけでも、22年間続いたフジテレビ系の朝の情報番組「とくダネ!」や、日本テレビ系で土曜昼を25年間彩った「メレンゲの気持ち」が終了。打ち切りこそ免れたものの、32年目になる日曜昼のTBS系の人気番組「噂の!東京マガジン」はBSへ引っ越しを余儀なくされた。

 そしてこのほど、日曜昼のクイズ番組で46年もの長寿を誇る「アタック25」を今秋で終えると、朝日放送が発表した。

 後は、「噂の~」が人気アイドルグループSnow Manを起用したバラエティーで、「メレンゲ~」は指原莉乃がMCを務める生放送番組になった。いずれも若者狙いで、「アタック25」の後も若者向けになると見る向きが多い。

 中高年世代に愛された番組からの、若返りへの路線転換──。いったい何が起きているのか。

「個人視聴率を重視する影響が番組づくりに及んできているのです」

 こう話すのは、メディアコンサルタントの境治氏だ。

「個人視聴率」とは、文字どおり「誰が見たか」を個人レベルで示す指標。1990年代後半から関東と関西で計測が始まり、テレビ局が性別や年齢層による傾向を分析するデータに使ってきた。それでも、これまではどの家が番組を見たかを示す「世帯視聴率」が主流だった。ところが、急速に個人視聴率が重視されるようになってきている。

「二つの流れがあるんです。テレビ局が重点ターゲットをどこに絞るかという戦略と、テレビCM枠を売買する『取引指標』として、どの視聴率を使うかという問題です」(境氏)

 ターゲットの絞り込みでは、日本テレビがいち早く態勢を固めたという。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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