林:こんな静かな生活をしていたら、どうやってお友達をつくるんですか。
小川:ベルリンにいたときの友人なんかと、LINEで誘ってごはん食べたりとか。「何時からごはん食べながら飲もうね」って。
林:あ、リモートってこと?
小川:はい。たまにですけど。
林:なんか、私とあまりにもライフスタイルが違うのでびっくりというか……。
小川:アハハハハ。
林:今の若い作家の人のエッセーを読むと、朝ちょっとランして、原稿書いて、お昼はパスタつくって、午後には仕事が終わって、なじみの居酒屋に行くみたいな、ミニマリズム(最小限の生活)で暮らしてますよね。その代表が小川さんですけど、私たちの世代だと、作家はガンガン仕事してガンガン遊んでましたよ。男性なんか銀座のクラブに行ったりして。
小川:そういう豪傑な感じにも憧れます。
林:でも、そういうミニマリズムでいい小説が書けて本が売れるんだったら、すごくいいなと思いますよ。小川さんってほんとに新しい作家なんだなと思う。
小川:林さんは、原稿を書かれるだけじゃなくて、こういう対談のお仕事も週に1回のペースでされてるって、ほんとにすごいですよね。エネルギーがありますね。
林:私たちの世代は、今の若い作家と熱量が違うんだと思う。流行作家と言われるにはたくさん連載をやって、たくさん稼がなきゃと思っていたんでしょうね。でも、これからは出版の形がどんどん変わっていくから、私たち、ついていくのも大変だと思う。
小川:でも、カッコいいですね。おいしいものを食べに京都に行ったりとか。憧れます。
林:いや、いまはそういうの、バブルを引きずってる時代遅れな人とみなされますから(笑)。
小川:でも、支える人がいなくなると、文化もすたれてしまいますし。
林:そうなんですけど、いまの社会の軸は小川さんたちの生き方だろうなってつくづく思いますよ。
小川:そうですか……。
林:ところで、次の小説はもう書き始めてるんですか。