現在は、新型コロナの影響で直接会うイベントは控えているが、代わりにZoomを使ったオンラインコミュニティに参加。それだけでなく、自分でオンライン勉強会を主催して、同世代のシニアにZoomやYouTubeなどの使い方を教えたり、コロナワクチンに関する勉強会を開いたりしているという。

「コミュニティに入ってから、かなり社交的になったと思います。ネットだと、居住場所に関係なく、いろんな人と知り合えるのが楽しいですね」

 ひと昔前であれば、シニアの余暇活動は地域の老人クラブや公民館に集まって楽しむのが定石だった。しかし最近は鍋島さんのように、ネットを駆使して活動の場を広げるシニアも増えている。

 シニア向けコミュニティサイト「趣味人倶楽部」を運営するオースタンスCEOの菊川諒人さんによると、同サイトの会員数は現在35万人。50代後半~60代前半の定年退職を意識し始める年代の利用者が多く、「旅行」「カラオケ」「ゴルフ」「グルメ」など、同じ趣味仲間で集まるコミュニティの数は4万5千件にも上る。

「参加者数が多いのは、『挨拶』『早起き』『しりとり』など、誰でも気軽に参加できるコミュニティ。一方で、会員同士の交流が活発なのは『ツーリング』や『家庭菜園』など。ちょっと変わったものでは、『Zoom演劇』や『ハワイ移住』のコミュニティなんかもあります」

 同社では、会員同士のつながり方を定量的に分析しているが、趣味の仲間をつくるのがうまい人は、共通して「自己開示」と「自己発信」を積極的にやっているそうだ。

「サイトには個人の日記や写真をアップできる機能があるのですが、それらが充実している人は自分の価値観や嗜好が正確に相手に伝わります。そのためコメントをもらいやすく、自分から声をかけたときも信頼を得やすい。手当たり次第にコミュニティに入るよりも、深く話し合える仲間を数人見つけることに価値を置いて活動したほうが、趣味を長く楽しめると思います」

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