自然条件でいえば、日本の場合、地震による土砂災害も少なくない。
防災システム研究所の山村武彦所長が「忘れられない」と振り返るのが、1995年の阪神・淡路大震災の発生時、兵庫県西宮市の仁川百合野町地区で起きた地滑り災害だ。やはり、谷埋め盛り土が崩落して、10万立方メートルの土砂が山際の住宅地を襲い、34人が犠牲になった。山村所長が語る。
「今回の土砂災害は非常に大きな教訓を残しています。日本は国土の7割が中山間地ですから、斜面にも住宅を建てざるを得ません。地震大国で大雨も多い国ですから、上流部の保全と、下の斜面にある住宅地の安全を守る責任が国にはあります。例えば、砂防三法を厳格に適用して、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域に指定すれば、盛り土や切り土、森林の伐採などは制限できるのです」
(本誌・亀井洋志、西岡千史)
※週刊朝日 2021年7月23日号より抜粋
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