羽田空港での「クイーン・デイ」イベントは、トークショーとトリビュートバンドによるライブの構成。開始前にはマスクを一瞬はずし、黙って写真撮影を楽しむファンも (撮影/写真部・東川哲也)
羽田空港での「クイーン・デイ」イベントは、トークショーとトリビュートバンドによるライブの構成。開始前にはマスクを一瞬はずし、黙って写真撮影を楽しむファンも (撮影/写真部・東川哲也)

 1975年の初来日以来、複数回、巻き起こっているクイーンブーム。2018年公開の映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットから続く人気は、20年のクイーン+アダム・ランバートの来日公演を経て、いまだ熱い。映画が6月4日に地上波テレビで初放送されると発表されたときは、ツイッターでトレンド入りしたくらいだ。なぜこんなにも熱狂が続くのか。

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前編/結成50年“クイーン愛”が止まらない! 初来日から続く日本との不思議な縁とは】より続く

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 映画「ボヘミアン・ラプソディ」から再燃した人気が長く続く理由をクイーン研究家の石角隆行さんは、「新しいファンが支えている」と分析している。以前からのファンに加え、映画を機にファンになった層が熱気を生み出しているというのだ。

「映画で一気に増えた10~20代の若いファンはさすがに離れ、だいぶ減りました。今も熱いのは40~50代の女性。それも、曲はテレビドラマやCMで知っていたけれど、リアルタイムではクイーンをよく知らなかった人たちです」

 しかも、彼女たちは勉強熱心だ。カルチャースクールでの石角さんのクイーン講座に参加したり、関連書を読んだり、旺盛な知識欲を持っている。そして、初期から、フレディが亡くなり、アダム・ランバートがボーカルを務める現在まで、どの時期のクイーンも丸ごと愛しているのが特徴だという。

 なぜそこまでクイーンにひかれるのだろう。映画をきっかけにファンになった一人に聞いてみた。フレディをこよなく愛するミコさんだ。

 家事と育児、仕事に忙しくしていたミコさんは、十数年ぶりに行った映画の予告で「ボヘミアン・ラプソディ」と出会い、雷に打たれたような衝撃を受けた。

「予告編から流れる曲とフレディの声に耳が奪われたような気持ちでした。本編は、公開初日の1回目の上映で見ました。体が震えるほど興奮して、逆に涙も出ないくらい感激したんです」

 ミコさんはクイーンの存在は知っていたが、短髪でヒゲをたくわえたフレディの姿になじめず、長年、興味が持てなかった。フレディが亡くなったときも、一つのニュースとしてとらえていた。ところが映画を見て一変。寝ても覚めても考えるのはフレディのことばかり。それも、憧れのフレディと一体化したいという思いがつのった。

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