林:まぁ……、すごい話……。しかし、内田さんのあの静謐な文章と、「パパラッチ」という言葉とが全然結びつかないですよ。失礼かもしれませんが、(東京)外語大を出てまでしてパパラッチというのはどうなんですか。

内田:ぜんぜん。すごく楽しい仕事で、私は向いていたと思います。イタリアにもスキャンダラスな雑誌ってたくさんありますが、雑誌の中綴じの真ん中のページが最新で目玉なんです。最後に刷るページだから。そこを誰が撮るかという競争。王室も「この人だったら撮られてもいい」という、そうした方々に特化した写真を撮っているカメラマンがいるんです。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

内田洋子(うちだ・ようこ)/1959年、兵庫県生まれ。通信社ウーノ・アソシエイツ代表。東京外国語大学イタリア語学科卒業。2011年、『ジーノの家 イタリア10景』で日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞を受賞。19年、ウンベルト・アニエッリ記念ジャーナリスト賞を受賞。20年、イタリアの「露天商賞」から、外国人として初めて「金の籠賞」を受賞。近著に『サルデーニャの蜜蜂』(小学館)、『イタリアの引き出し』(朝日文庫)、『デカメロン2020』(方丈社)、『十二章のイタリア』(創元ライブラリ)など。

週刊朝日  2021年2月19日号より抜粋

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