左から、バイデン米次期大統領、米次期財務長官のイエレン氏、日本銀行の黒田東彦総裁
左から、バイデン米次期大統領、米次期財務長官のイエレン氏、日本銀行の黒田東彦総裁
2021年 経済関連の主な日程 (週刊朝日2021年1月15日号より)
2021年 経済関連の主な日程 (週刊朝日2021年1月15日号より)

 2021年は干支(えと)にちなんで「丑(うし)つまずき」とも呼ばれ、我慢が求められるという株式相場。だが今年は、少し事情が違う。年初から明るい材料なのは、何といってもバイデン氏の大統領就任だ。市場関係者からは、政権交代と株式市場が蜜月関係の“ハネムーンラリー”により、株高への期待がふくらむ。

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「今年前半ぐらいまで“ご祝儀相場”となる可能性がある」

 こう見通すのは、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦さんだ。通常の年は「年末高、年初安」の展開が多いものの、「米大統領選の翌年は違う」と説く。

 すでに20年11月から、米国株の上昇に伴って日本株も急上昇。ニューヨークダウ平均株価が12月4日に3万218ドルの史上最高値を記録すると、日経平均株価も12月7日に2万6894円の年初来高値をつけた。歴史的な超低金利が続くなか、大規模な金融緩和を背景に、余剰資金が株式市場に流れ込んだとされる。

 こうした急騰は、「21年の景気回復を織り込み始めた動き」(香川さん)だともみられ、新型コロナに対するワクチン開発への期待も加わり、21年の日経平均株価は3月末にかけて「2万8千円くらいが視野に入ってくる」(同)。

 マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さんも同じように、“ハネムーン相場”の追い風が吹くとして「米国では追加景気対策が出て株式市場も元気になる」。20年末の時点で「各国の景況感は相当高いレベルに戻っており、21年はV字回復する」と予測。業績見通しで企業の上方修正が相次ぐとみる。

「株式市場は緩やかに水準を上げる底堅い動きになるだろう」と話す三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストも、景気が年後半から回復してくるシナリオを描く。

 もちろん、新型コロナの終息が不透明なだけに、21年の経済動向には慎重な見方も根強い。

 みずほ総合研究所の主任エコノミスト、酒井才介さんが、この一年を「緩慢な回復になる」と表現したのは「先進国では22年以降にならないと新型コロナに対するワクチンが普及しない」とみているためだ。外食や旅行、娯楽産業では“ソーシャル・ディスタンス”などの行動制限が続く。感染が再拡大するのではないかという“不確実性”が、新年を迎えても家計の行動や企業の活動を萎縮させる要因となる。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年1月15日号