林:先生は今の天皇、皇后両陛下に何度も会われたと思いますけど、私もこのあいだお言葉をいただく機会がありまして、やっぱりふつうの方とは違う素晴らしい方だと思いました。皇后さまも素敵な方で、ご苦労された分だけ人間力が増して、素晴らしい女性だと感じました。各国の要人が総理大臣と会ったってそんなにうれしがりませんけど、皇居に行けばどんな方もみんな喜ぶじゃないですか。あれをもっと認識すべきだと思うんです。

御厨:そうなんです。中国だって韓国だって、日本がうらやましいのは、天皇が続いてることなんですよ。天皇のような、ある種優雅な、のりしろがたっぷりある部分というのは、中国や韓国の制度の中にはないですからね。日本の天皇制というのは、豊かな文化ののりしろの部分を代表してますから、海外の人も日本に来たら、いの一番に「陛下にお会いしたい」と言いますよ。

林:そうですよね。外国の賓客をもてなしているときのお二人を見ると、ほんとに誇らしい気持ちになります。私も今「文藝春秋」で李王家の話(「李王家の縁談」)を連載していますが、史料を読むうちに皇族について初めて知ることがたくさんありました。しかし天皇家の評価が高くなって、「愛子さまも素晴らしい」という声が出てくると、シーソーみたいに秋篠宮家の評価がどんどん下がっていく感じがするんです。どうしてそうなっちゃうんでしょう。

御厨:秋篠宮さまは次男ということで、かなり自由にお育ちになったことは間違いないですよね。実際に美智子さまは、今の天皇陛下に対しては相当程度の天皇教育をしたけれども、その分、あとのお子さん方には手をかける時間がなかったということを、おっしゃったことがあると聞いています。

林:将来、秋篠宮家の悠仁さまに男児ができない限り、大変なことになりますよね。

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