安倍前首相の立件の可能性は薄いのか。捜査関係者はこう解説する。

「検察が告発を受けて独自捜査する場合、20人も調べるというのは、それなりに事件に脈があるということ。立件できる可能性がある」

 安倍前首相は国会で一貫して、「安倍事務所の補填はない」「後援会の収入や支出もなかった」などと説明していた。

 補てんが事実ならその説明は真っ赤な嘘ということになる。検察の捜査次第では、政局に大きな影響を与えかねない。これまで政権が頼ってきた“官邸の守護神”と呼ばれた元東京高検検事長、黒川弘務氏は5月に賭け麻雀問題で失脚。自民党幹部が不安な胸の内をこうぼやく。

「黒川氏がいれば、こんな面倒なことにはならなかったと思うよ。今になって黒川氏の存在がいかに大きなものだったのか痛感するね。菅首相だって黒川氏に頼って政権運営してきた。心配でたまらないと思うな」

 もう一つ、注目されるのは、安倍前首相への事情聴取だ。前夜祭の主催は「安倍晋三後援会」で、その代表は安倍前首相の公設第一秘書だ。

「公設第一秘書から安倍氏が関与という証言があれば、そりゃすぐに事情聴取となるでしょう。安倍さんには秘書の監督責任、政治資金収支報告書をチェックして正しいものか把握する義務はある。それについて事情を聞くということはあり得る」(前出の捜査関係者)
また野党・立憲民主党の幹部はこう話す。

「安倍氏の国会答弁はウソだったことが明白だ。事件としても問題だが、国会で総理がウソを堂々とついていたというのは、とんでもないこと。今度こそ国会で証人喚問すべきという声もある。菅首相も官房長官として、安倍氏のウソに加担していたかもしれません。同罪ですよ」

 前出の自民党の幹部はこう話した。

「これまで黒川元高検検事長を通じて、検察を抑え込みすぎた結果かもしれない。その重しがなくなったとばかりに、検察が一気に政治家へ向かってくることもありうる。安倍さんを事情聴取、事件を立件となれば、官房長官だった菅首相の責任も問われる。本当にまずいよ」

(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事