多くの店が閉店、休業した5月の東京・新橋。現在もシャッターを閉めている店がある (c)朝日新聞社
多くの店が閉店、休業した5月の東京・新橋。現在もシャッターを閉めている店がある (c)朝日新聞社

 これから冬にかけて、新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るうかもしれない。同時に増えそうなのが「コロナ関連死」だ。うつになっての自殺や、感染を恐れての通院控えで持病悪化による死亡などだが、今後、経済的な困窮が原因となることが懸念されている。

【図】コロナ禍で経営破綻企業も急増

 都内でクリニックを経営する内科医がこう語る。

「予約の入っていた日に来院されなくて、しばらく経ってから孤独死のような形で亡くなられた患者さんが2人いました。40代と50代の男性で、どちらも心臓病でした。心配していたところへ警察の方から電話があり、病態などを聞かれました」

 2人が病院に来れなかった理由は不明だが、前の診療からかなりの時間が経っていた。内科医によると、最近はコロナ感染の影響などによる休業や失業のため、治療が必要でも、家賃の支払いや家族を養うための生活費を優先し、治療費を削らざるを得ない人たちが出ているという。

「飲食店関係の方が何人も来られなくなってしまって本当に気の毒です。心臓病の人は突然死する恐れがありますし、糖尿病の人はインスリンを打たなくてはすぐに血糖値が上がってしまいます。意識障害を起こすことがあるし、放置していたら腎不全や失明など重篤な合併症を予防できなくなります」

 インスリンや心臓病の薬は高い。内科医も一番安いジェネリックに変えたり、検査も最低限にしたりしてできるだけ治療費をそぎ落とすようにしているという。心配して患者に電話をかけることもあるが、本人も治療が必要なことは自覚しているから、なおさらつらい。

「職が見つかって、とりあえず給料の前借りができたからと4カ月ぶりに、すごく状態が悪化してから来られた方もいます。次いつ来られるかわからないというので、薬を長めに出しましょうかと言ったけど、いまそんなに治療にお金を使えないと……。うちは循環器と糖尿病を診ているので、きちんと治療しないと命に関わる病気の人が多い。それでもお金がなくて来られなくなっている人が結構います。どうしたらいいのかわからない」

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