秘書に聞けばわかると思っていたら、彼女はアンドロイドを使っている。家に帰って一人でやってみたが、なんとか電話とメールが出来る程度。

 それも今までの指の使い方と違うので馴れるまでがたいへんである。

 これだけスマホが普及し、菅政権になって携帯料金も安くなるかもしれないし、コロナのおかげでオンラインが当たり前になってきたから、スマホを使いこなせなくては生きていくのがなかなかたいへんな世の中になってきた。

 以前から、私は老人ホームで歌ったり絵を描くよりスマホを教えてはと言っているのだが、女性の四人に一人が七十代以上の時代になっては、高齢者はスマホが使えなければ、ますます時代遅れになりスマホ世代とはっきり分かれてしまう。

 別に私はスマホなど必須と思わないが、ガラケーもなくなるといわれている今、高齢者をスマホから除け者にしないで、上手に巻き込んで欲しい。

週刊朝日  2020年10月16日号

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『極上の孤独』『年齢は捨てなさい』ほか多数

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下重暁子

下重暁子

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中

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