菅義偉新内閣は高支持率で上々の滑り出しを見せた。もちろん、背景には安倍政権のレガシー「マスコミ支配」をそのまま継承した菅氏への忖度報道があるが、それだけではないだろう。
少なくともかなりの程度は「デジタル化推進」「縦割り・既得権打破の規制改革」という菅氏の公約への期待が極めて大きいと見るべきだ。
では、菅政権はこの期待に応えられるのか。
安倍晋三政権のアベノミクス第3の矢・成長戦略の中核は規制改革で、安倍氏は岩盤規制に「ドリル」で穴をあけると豪語したが結局失敗だった。
菅氏はその安倍政治を継承するというのだから、改革も失敗するのではないかという疑念を呼ぶ。
小泉純一郎内閣以降の大きな「改革」の動きをおさらいすると、面白いことに気付く。それは、大改革を進めるにあたっては、総理のリーダーシップもさることながら、総理秘書官、改革担当大臣、そして事務局スタッフの少なくともいずれかに「改革の鬼」とも言うべき人材を登用できるかどうかが改革成功のカギを握るということだ。
小泉政権では、郵政民営化に総理ブレーンの竹中平蔵氏(現パソナ会長)が活躍。総務相になってその実現に動いた。竹中氏の秘書官は経産省出身の改革派・岸博幸氏(現慶応大大学院教授)だった。
第1次安倍政権では秘書官が第2次政権と同じく今井尚哉氏だったが、意外にも現役公務員による天下りの斡旋を禁止する国家公務員法改正を実現した。その立役者は行革担当相の渡辺喜美氏だ。強烈な改革派だった渡辺氏は補佐官に経産省出身の原英史氏(現政策工房社長)を起用。天下り規制に続き、国家公務員制度改革基本法も成立させた。内容は省略するが、中曽根康弘元総理が「これは革命だ」と評したほどの法律だ。
渡辺氏はやりすぎて福田康夫総理に更迭されるが、その直前には、私を事務局ナンバー3の審議官に起用し、さらに官僚を辞めた原英史氏を含む数十人の民間人をスタッフに投入するという驚きの体制を作り上げた。