そういえば、姉所有の漫画雑誌の別冊付録で『松田聖子物語』という本があったな。小学生の頃、何も読むものがなくなるとこれをずーっと読んでいたのを覚えている。子供時代の聖子ちゃんは友達から「のりっぺ」と呼ばれていたらしい。本名・蒲池法子だから。そんな「のりっぺ」が両親に内緒で福岡でのオーディション大会に出場。「好きな歌手に会いにいく」と嘘をついて母親に会場まで送ってもらい、母親が買い物を済ませて会場に戻ると「のりっぺ」がステージで歌っていたという。やっぱりすごい。ボロボロになるまで読んでいた『松田聖子物語』がそのままネットに載っていて記憶が蘇ってきた。ネットの人も『松田聖子物語』読んでたのか?

 慣れない聖子ちゃん頭にくたびれて、一息つこうと再び『あつもり』に戻る。なんと新しい動物が増えそうなかんじ。名前は「のりっぺ」! アヒルの女の子だ。夢は「ファーストレディ」。アイドル志向の強い「のりっぺ」の顔は聖子ちゃんにどことなく似ていた。マジか。我が島の仲間たちは「のりっぺ」と仲良くしてくれるかな。「のりっぺ」を頼むよ。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。YouTube 「春風亭一之輔チャンネル」ぜひご覧ください! アーカイブもいろいろあります

週刊朝日  2020年10月2日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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