この動きに歩調を合わせるよう、9月になると神恵内(かもえない)村でも村商工会が村議会に文献調査への応募検討を求める請願書を提出した。村商工会会長でもある上田道博村議は報道陣に「村の経済が厳しく国策に頼るしかない」と話すなど、こちらも交付金と雇用が狙いだ。

 村議会は17日の本会議で継続審査を決めた。

 一方、北海道には「核抜き条例」があり、誘致への抵抗も根強い。鈴木直道知事は梶山弘志経済産業相に「最終処分場は受け入れがたい」と懸念を表明。さらに、寿都町が開いた住民説明会では反対意見が相次いだ。

 同町で水産加工業を営む吉野寿彦氏は、「北海道は観光立国で頑張ろうとしているのに、『核のゴミ』のイメージがついたら立ち行かなくなる」と不安を漏らす。

 こうした現状に原子力資料情報室で共同代表を務める伴英幸氏は、まず処分ありきの計画をやめるべきだと話す。

「地層処分をしても本当に長期的に安全なのか誰にもわからない。いま処分場を探すのではなく、すでにある廃棄物を地上で長期貯蔵しながら地下深部の研究を進め、より安全な処分の仕方を探る努力が必要です」

(桐島瞬)

週刊朝日  2020年10月2日号