ロシアは、欧米による経済制裁が行われてきたが、皮肉なことにそれによってロシアの農業が繁栄した。欧米の制裁によって食料を自由に輸入できなくなったロシアは、自分たちで栽培せざるをえなくなったからだ。

 外国からの投資にも積極的だ。制裁が始まってからのほうが、投資環境はよくなっている。トランプ米大統領が制裁を強めれば強めるほど、ロシアの農業はもっと伸びていくだろう。

 一方で、私はインドに投資するつもりはない。かつて何度かインドに投資したことがあるが、実りがなかった。

 今後、チャンスが来るかもしれないが、インドの株式市場は割高な状態が長く続いていた。したがって私はインドには投資していない。

 それでもインドは、一度は訪れるべき国だと思う。実に多様性に富み、少し通りを歩いただけで楽しませてくれるからだ。女性も男性も容姿端麗で、頭も非常に良い。大成功して億万長者になった人がごろごろいる。

 インドは中国以上に汚染がひどく、住むのは敬遠したいが、旅行するには素晴らしい国だ。もし一生に1カ国しか訪れることができないとすれば、インドに行くべきだと思う。

ジム・ロジャーズ/1942年、米国アラバマ州出身の世界的投資家。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界3大投資家」と称される。2007年に「アジアの世紀」の到来を予測して家族でシンガポールに移住。現在も投資活動および啓蒙活動をおこなう

(取材/朝日新聞シンガポール支局長・西村宏治 構成/本誌・西岡千史 監修/小里博栄)

週刊朝日  2020年9月25日号

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ジム・ロジャーズ

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ジム・ロジャーズ/1942年、米国アラバマ州出身の世界的投資家。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界3大投資家」と称される。2007年に「アジアの世紀」の到来を予測して家族でシンガポールに移住。現在も投資活動および啓蒙活動をおこなう

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