ほさかや/写真の串は奥から、かしら、ひれ、きも各300円、からくり400円。「からくり」とは、鰻をさばいた時に出た、切れ端を串に巻きつけたもの。左の皿は塩味で、わさびが添えられる。税込み (撮影/倉田貴志)
ほさかや/写真の串は奥から、かしら、ひれ、きも各300円、からくり400円。「からくり」とは、鰻をさばいた時に出た、切れ端を串に巻きつけたもの。左の皿は塩味で、わさびが添えられる。税込み (撮影/倉田貴志)
レトロなポスターや年季の入ったコの字カウンターが店の歴史を物語る (撮影/倉田貴志)
レトロなポスターや年季の入ったコの字カウンターが店の歴史を物語る (撮影/倉田貴志)
昔ながらの大衆的な店構え。週末は店の前に行列ができることも (撮影/倉田貴志)
昔ながらの大衆的な店構え。週末は店の前に行列ができることも (撮影/倉田貴志)

 今もまだ残る古き良き店を訪ねる連載「昭和な名店」。今回は自由が丘の「ほさかや」。

【店内の写真】レトロなポスターや年季の入ったコの字カウンターが店の歴史を物語る

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 東京・自由が丘駅近くに昔ながらの大衆的な店が並ぶ“美歓街”と呼ばれる通りがある。この一角で、鰻の専門店として長年親しまれる「ほさかや」。

 国産鰻の炭火焼きの串が、1本300円から食べられるため、夜の開店時間になるとお客が次々とのれんをくぐり、コの字カウンターの席が埋まる。男性客に交じって、若い女性が串を頬ばる姿もめずらしくない。

 創業は戦後間もない1950年。酒屋の丁稚奉公をしていた初代が自由が丘で最初の店を開き、50年ほど前に2代目がいまの場所に店を移した。現在、3代目を務めるのは鰻の卸会社を経営する松尾勇司さん。業者として出入りするうちに、店を任されるようになったと話す。

 炭焼き台で焼かれるのは、身を小さく切った串以外に、からくり、きも、ひれ、かしらと部位もさまざま。鰻が一尾まるごと楽しめる。好みですべてタレと塩が選べるのも嬉しい。タレはみりんの代わりに水飴が使われているので、とろっとした甘みがクセになる。

 鰻の卸会社の経営だからこそ可能な、手頃な値段がありがたい。串はすべて持ち帰りができる。うな丼やうな重を提供するお昼時もおすすめだ。(取材/文・沖村かなみ)

「ほさかや」東京都目黒区自由が丘1‐11‐5/営業時間:営11:30~14:00 16:30~21:00(土祝16:00~)/定休日:日、第2月(祝日の場合は第3月)

週刊朝日  2020年9月18日号