瀬戸内寂聴、98歳にして油絵に挑戦 横尾忠則が“達人的”というその出来とは (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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瀬戸内寂聴、98歳にして油絵に挑戦 横尾忠則が“達人的”というその出来とは

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瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)/1922年、徳島市生まれ。73年、平泉・中尊寺で得度。『場所』で野間文芸賞。著書多数。『源氏物語』を現代語訳。2006年文化勲章。17年度朝日賞。

瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)/1922年、徳島市生まれ。73年、平泉・中尊寺で得度。『場所』で野間文芸賞。著書多数。『源氏物語』を現代語訳。2006年文化勲章。17年度朝日賞。

横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。(写真=横尾忠則さん提供)

横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。(写真=横尾忠則さん提供)

 半世紀ほど前に出会った98歳と84歳。人生の妙味を知る老親友の瀬戸内寂聴さんと横尾忠則さんが、往復書簡でとっておきのナイショ話を披露しあう。

【横尾忠則さんの写真はこちら】

*  *  *
■横尾忠則「セトウチさんの絵、年齢性別国籍不明!」

 セトウチさん

 早速、セトウチさんの新作の画像が届きました。パッ、と見に、黙っていると何歳の子の絵だろう? と思ってしまいますが、セトウチさん98歳の絵です。ワレモコウ? 花の名前ですか? 緑と紫の2色で描かれた具象とも抽象ともとれるシンプルなモダンアートです。この絵はセトウチさんに期待していた、素朴、無垢(むく)、粋心がそのまま表れた実に気持ちのいい、きわめてさわやかな絵です。何(な)んとなくユーモラスでリズミカルで、音楽的です。未完のような状態で完成させたところは達人的です。背景の白地が手抜き的ですが、そこが文人画風で、ゴテゴテしていないところが知的です。ワレモコウとかいう植物の茎と花か実かの区別のつかない点々の配置が計算されているのか、いないのか。画面下中央に茂った茎の所に紫の斑点が、ワーッとかたまって重なっているところが、花火のように画面いっぱいにパッ、と散った部分と中々(なかなか)いいコントラストです。

 それにしても、このような年齢性別、国籍不明の絵が描けるセトウチさんのメンタルに先(ま)ず心が惹(ひ)かれます。描けそーで描けない絵です。描いても、恥ずかしいと言って、人に中々見せないものですが、セトウチさんはこうして、写真を撮って堂々と送って下さるその無垢な無邪気さが、見る者の感動を呼ぶのです。

 あんまり誉(ほ)め過ぎると、オベンチャラばっかり言うて、と叱られそーです。さて、この絵をもっと魅力的にするためには背景の白バックに色を加えると、もっと素晴らしい絵になります。すでに描いている緑の線と紫の点々に色が重ならないように避けて塗って下さい。色がまだらになってもかまいません。細い筆ですでに描かれた緑の線と紫に色がかぶらないように、かぶったとしたら、あとで修正すればいいのです。その修正箇所がまた味になるのです。細い筆と中ぐらいの筆2本、または3本で白地を好きな色で埋めて下さい。すると深みのある奥行のある絵になります。そして完成したら、堂々と横文字のサインを入れて下さい。年代日付が入ってもいいです。


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