前出の前原氏によれば、当時の現場では、タスクフォースから再建を引き継いだ企業再生支援機構(当時)トップと、主要各行の頭取が怒鳴り合う場面はあったという。

 その後再建は進み、JALは12年に再上場を果たした。

「注入した公的資金以上の額を回収できたので『倍返し』はできたのではないでしょうか」(前原氏)

 一方のJALは、どんな感想をお持ちだろうか。広報部の担当者は、

「半沢直樹さんが帝国航空の安全面への意識がしっかりしている、と評価している場面が印象的です。安全面への取り組みは当時も今も最も重視している点です。当時、上で何が起きているのかはわかりませんでしたが、ドラマを見て、こういうこともあったのかな、と思えるような点はあります」

 そのJALは新型コロナウイルスの影響で再び厳しい経営環境に直面している。ドラマの見方も、三者三様のようだ。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年9月4日号

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら