恋愛妄想系「タイムラインの王子様」が初小説 異例の重版に「のまれていく感じが怖い」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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恋愛妄想系「タイムラインの王子様」が初小説 異例の重版に「のまれていく感じが怖い」

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仲宇佐ゆり週刊朝日#読書
カツセマサヒコ/1986年、東京都生まれ。大学を卒業後、2009年に印刷会社に就職。趣味で書いていたブログをきっかけに、編集プロダクションから声をかけられ転職。17年4月に独立してウェブライター、編集者として活動中。(撮影/なかむらしんたろう)

カツセマサヒコ/1986年、東京都生まれ。大学を卒業後、2009年に印刷会社に就職。趣味で書いていたブログをきっかけに、編集プロダクションから声をかけられ転職。17年4月に独立してウェブライター、編集者として活動中。(撮影/なかむらしんたろう)

 青春小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)が話題となっている。著者は、恋愛妄想系のツイートが人気を集めるカツセマサヒコさん。小説は初めて書いたという。現在の心境や小説のテーマについて聞いた。

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 初めて書いた小説、しかも初の著書が発売前の予約段階で重版になり、発売1週間で4刷りという異例の盛り上がりをみせている。

「ほんとにありがたいんですけど、自分の手から離れていくというか、何かにのまれていく感じがして怖いですね」

 と、カツセマサヒコさんは語る。恋愛妄想系のツイートが人気を集めて「タイムラインの王子様」と呼ばれ、ツイッターのフォロワーは14万人以上。エッセイ、ショートストーリー、インタビュー記事などをウェブ媒体に執筆し、作詞も手がける。

 この長編は東京の大学を出て企業に就職した20代男性を描く青春小説だ。飲み会で出会った年上の女性と恋に落ちるが、恍惚感はやがて苦しみに変わる。満員電車で通う会社にもなじめず、「こんなはずじゃなかった」と不満を募らせる。

 2010年代はLINEやツイッターが普及し、同世代で起業した人、活躍する人が目に入りやすくなったとカツセさんは言う。

「だから、この時期に20代を過ごした人は、『俺は何をしてるんだろう』という焦燥感を他の世代より強く感じている。それを一つの大きなテーマとして描きたいと思いました」

 より創造的な仕事を求めて大企業から転職した自身の経験も反映されている。悩み多き20代は自分のために時間を使える「マジックアワー」でもある。カツセさんは就職して荻窪に住み、会社の同期の仲間たちと高円寺に集まっては朝まで飲んでいた。

「当時からそれがマジックアワーだと気づいていました。こんな楽しい時期、そう長くは続かないよねって。あのときの空気感も書きたかったんです」

 書き始めてとまどったのがウェブと本の違いだった。縦書きは、横書きとは句読点のリズムが違う。長さもウェブは短く、6千字以上は書いたことがなかった。本1冊はおよそ10万字。1章1万字×10章ととらえ、まずは1万字の中で起承転結を考えた。


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