「一般的に、血糖値が高くなると免疫力が低下することが知られています。糖尿病の人は血糖値に気をつけることで、感染リスクが下がると考えられます」(綿田医師)

 そもそも糖尿病の治療においては、食事制限や運動のほか、薬剤やインスリンによる血糖値のコントロールが重要になる。しかし処方箋をもらうためとはいえ、感染リスクを負う外出はできる限り避けたい。綿田医師は、コントロールの安定している糖尿病の患者には、薬剤の継続使用のために、電話診療やオンライン診療で処方箋をもらうことをすすめている。

 しかし、一部には実際に通院して診療を受けたほうがいい場合も存在する。たとえばもともと治療の一環で運動を続けていたのに、それができなくなった人。通っているスポーツクラブが自粛・閉鎖してしまったというケースもあるだろう。運動ができなくなった場合、血糖値を下げることができなくなり、高血糖の危険性が増す。

 反対に、これまで仕事などで外食の機会が多かったが、自粛要請により、意図せずして食事制限をすることになってしまった人。こうした場合、平時と同量の薬剤を使用すると、血糖値を正常値以下に下げすぎてしまうことがある。低血糖は重度の場合、意識障害などを引き起こしてしまうため、注意が必要だ。

 いずれの場合も、突然の生活の変化により、血糖コントロールがうまくいかなくなってしまった可能性がある。

「これらに当てはまる場合、一度病院で採血をしたほうがいいでしょう。血糖の状態によっては、薬剤の種類や量を調整する必要があるかもしれません」(同)

 慢性腎臓病(CKD)についてはどうか。東京大学病院腎臓・内分泌内科教授で、日本腎臓学会副理事長の南学正臣医師によれば、特に注意が必要なのはウイルスに感染しやすい透析患者だ。透析患者は自身の腎臓が十分機能せず、透析を受けていてもからだに尿毒素が蓄積しており、免疫力が低下している。

 また、腎移植を受けた人やネフローゼ症候群などで免疫抑制剤を服用している患者もハイリスクだという。

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