※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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セロンさんの「投資方針書」(2018年版) (週刊朝日2020年5月1日号より)
セロンさんの「投資方針書」(2018年版) (週刊朝日2020年5月1日号より)

 都内に住む30代サラリーマンで投信ブロガーのセロンさんは、長期投資を始めてもう10年になる。

【セロンさんの「投資方針書」はこちら】

「毎月7万円を積み立てて、市場全体の値動きに合わせて動くインデックス型の投資信託を買っています。ボーナス時の増額を合わせると年間100万円以上になります」

 普段は株式相場の値動きは気にならない。といっても最初からそうだったわけではなく、1、2年は投信の値段である「基準価額」を毎日確認していた。ちょっとした下落局面はマーケットにつきもの。そうした“ミニショック”を経験しているうちに、値下がりしても動揺しなくなっていったという。

「でも、今回は違いました。日々、マーケットの動きを見ていました。(あまりの下落に)単純にビックリで、だんだん不安になってきた。でも、ある行動をしたことで再び落ち着くことができました」

「ある行動」は記事の後半でたっぷり触れるとして、コロナ騒ぎで世界中の株式市場が大荒れになっている。「いつかはきつい下げが来る」と予想していた人は多かったが、「まさか新型ウイルスがきっかけに……」とは想像もしていなかっただろう。しかも、3月はあまりにも下げが速かった。あれよあれよという間に、2008年のリーマン・ショック以来の大暴落が起こってしまった。

 リーマン・ショックの際は、怖くなって投資をやめてしまう個人投資家が続出したという。となると気になるのは「長期投資家」の動向である。

 老後不安などから近年、若年層を中心に資産形成への関心が急速に高まっている。とりわけ国が「長期・積立・分散」による長期投資を推奨し、「つみたてNISA」を作ったり、個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者を広げたりしたため、長期投資が広がりを見せていた。

 お金の面での自助努力が欠かせないだけに、積立投資を根付かせたい金融関係者は多い。個人投資家はこの暴落局面にどう臨めばいいのだろうか。

 毎月一定額を投資に回す積立投資の特徴として、高いときには少なく安いときには多く購入できる点がある。このため確信的に積立投資を進めている個人投資家の一部は、暴落を好機と見ているようだ。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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