ジャネット・イエレン元FRB(連邦準備制度理事会)議長は先日、米メディアのインタビューに対して、4~6月の第2四半期の米GDP(国内総生産)は少なくとも30%減少し、米国内の失業率はすでに12~13%に達していて、今後さらに悪化していくだろうとの見方を示した。米労働省によると2月の失業率が3.5%であるので、その4倍近くが見込まれているということだ。この失業率は1930年代の世界恐慌(1933年の24.9%)に次いで最悪となる。

 NYのマンハッタン中心部にあるビルの管理業務を担当しているクリス・ウォルシュさん(29)は、州が定める「必要不可欠な仕事」として今も平日は毎日、出勤している。管理するビルにはいくつかの会社が入っているが、オフィスにはほとんど人がいないという。自宅には6月に出産予定の妻がおり、通勤や勤務時に他人からウイルスが感染しないか心配だという。それと同時に、日に日に悪化していくNYの経済を見ていて、自分がいつ解雇されるかわからないという不安を抱えているという。クリスさんは今の仕事場で昨年末に雇われたばかりの新人なので、解雇されるのならば自分が最初だと考えている。「一番の不安は妊娠している妻の健康、そして今の仕事を首にならないかということです」

 クオモ知事は以前の会見で「ウイルス感染の拡大を早めに抑えることができるのならば、経済の復旧にも早期に対応できる」と語った。先行きが見えず、わからないことばかりの状況だが、ここでウイルスの感染拡大を止めなければ、さらに経済にも悪影響を及ぼすことは間違いない。

 先出の小倉さんは「収入などの不安はありますが、みんなが今は我慢して協力し合えば、それだけ早く仕事にも復帰できると信じています」と語る。すべての人々が闘っている。(新垣謙太郎)

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