事情聴取をした議員の中には当選祝い、激励と言い張る議員、一方でカネを返さず、違法性があることも認識していたという議員もいるという。

 国会議員が首長や県議、市議に現金を渡して、票の取りまとめを依頼していたとなると、前代未聞の大スキャンダルだ。

「広島地検には、東京地検や大阪地検から応援の検事が多数、駆けつけている。当初、3月末までの期限で出張していたが、4月10日まで延長された。いずれ、捜査は広島地検と東京地検特捜部が合同捜査本部を立ち上げ、進むだろう」(前出の捜査関係者)

 前出のAさんによると、電話に03の番号が表示されて出ると、東京地検特捜部の検事と名乗り、「広島に行くので取り調べに応じてくれ」と言われたという。

「東京の特捜部が乗り出すとなれば、河井夫妻が立件される可能性があるんでしょう。逮捕許諾請求も視野に入れているようです。3月28日、案里氏が病院に運び込まれた、服用している薬と酒を一気に飲んだそうです。しかし、命に別状はなく重篤な様子ではない」(捜査関係者)

 ある自民党の中堅国会議員がこうぼやく。

「河井夫妻には一刻も早く離党してほしい。引っ張れば、引っ張るほど安倍政権への痛手になる。しかし、元をただせば、総裁、幹事長の差配で1億5千万円もの大金を選挙資金として河井夫妻へ送ったことが原因でしょう。しかし、今どき、県議や市議に現金をばら撒くなんて時代錯誤もいいところですよ」

 捜査の行方が注目される。

(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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