自民党内では相当、もめています。前回の16年の都知事選では、小池知事と自民党などが推薦した増田寛也・現日本郵政社長との戦いになりましたが、安倍首相は『地方の選挙にはかかわらない』と言って、選挙の応援に来なかったんです。二階さんも、東京都のことには口を出さないと発言していました。それなのに、今回は党本部が顔を出してくるというのはおかしい」(前出の自民党都議)

 都議会自民党の小宮安里政調会長は、26日の記者会見で小池知事を批判した。

「自民党本部は小池さんを支持していると言うけれど、それは党本部の見解かもしれませんが、私どもは小池さんを都知事としてふさわしいとは思っていません」

 自民党のねじれが見えた瞬間だった。

 自民党都連の深谷隆司最高顧問は、小池知事の対抗馬を探したが、見つからなかったと告白する。

「小池さんはもともとが人気がある上に、現職です。首長選挙というのは現職が圧倒的に強い。対抗馬となると、よほどのタマじゃないと勝てない。残念ながら、執行部が頑張って候補者を探したんですか、これはという人が浮かばなかった」

 さらに新型コロナウイルスの感染が拡大し、

「それどころじゃなくなった」

 と明かす。

 ただ、深谷氏は小池氏を応援するには条件があるという。

「新型コロナの問題では、日本最大の危機ですから、小池さんが都民を守ろうと努力しておられることには協力したいと思います。が、前回の都議選で、自民党は現職議員が3分の2落選しているんだから、この人たちにとっては許せないという思いがあるでしょう。来年予定されている都議選では、小池さんがかつてのように、都民ファースト一辺倒に応援するのでは困ります。知事としての中立的な立場をきちっとお考えになって、公正に行動することが大事な条件だと思っています。それと、自民党が求める政策をちゃんと受けて、都政に反映するようにしてもらいたい」

 一方、小池知事を支えてきた都民ファーストの森愛都議は、こう語る。

「小池知事は4年前、都知事選に出馬する際に、『崖から飛び降りる覚悟』と決意を表明しました。自民党が行ってきた都政のブラックボックスと戦った。それに私も共感し、都民ファーストに飛び込んだんです。小池さんには、初心を忘れないで、この4年間の都政の継続に取り組んでいっていただきたい。小池知事となり、受動喫煙防止条例の制定や、行財政の見直しで財源の確保など、都民ファーストの視点での数々の改革を高く評価しています」

 小池知事の動向に注目が集まることは間違いない。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら