新型コロナウイルス感染拡大に関するフリーランス支援について記者会見する日本俳優連合の幹部ら=3月12日、東京・霞が関の厚生労働省
新型コロナウイルス感染拡大に関するフリーランス支援について記者会見する日本俳優連合の幹部ら=3月12日、東京・霞が関の厚生労働省

「『4100円』は、休業補償の額としてありえません。同じ労働者でも、雇用形態によってなぜ金額に差があるのか。明確な説明をしてほしい」

 こう怒りをにじませるのは、日本俳優連合の国際事業部長・森崎めぐみ氏だ。同連合はテレビ局や製作会社との間で出演条件などの団体交渉を行う協同組合で、俳優・西田敏行氏が理事長を務める。

 政府は3月10日、新型コロナウイルスの感染拡大に対する「緊急対策」として、業務委託契約などで働く個人事業主(フリーランス)への支援制度創設を発表した。対象は、子を保育所や小学校に通わせる保護者。2月27日~3月31日の間、臨時休校などで就業できなかった日について、申請にもとづき一律で日額4100円を支給する。

 だが、企業に雇われている保護者に対しては、有給休暇の取得日を対象に日額で上限8330円を助成する(申請は会社単位で実施)。「なぜ半分なのか」などと、フリーランスの働き手からは怒りの声が噴出している。

 12日には、日本俳優連合のほか、MICフリーランス連絡会、日本ベリーダンス連盟、落語芸術協会が合同で記者会見を開き、フリーランスに対する支援策拡充を求めた。

 厚生労働省によると、「4100円」は、東京都最低賃金(1013円)の4時間分相当。前出の森崎さんは、これに疑問を呈する。

「俳優の仕事は不規則。実際には、企業での一般的な就労時間以上の長時間拘束もザラです。フリーランスの働き方が国に正しく伝わっていないことを痛感させられる計算式でした」

『おっぱいがほしい!』(新潮社)などの著作を持ち、作家業と並行して4歳児の子育てをする樋口毅宏さん(48)も言う。

「4100円は安いと感じました。『フリーター』と『フリーランス』の違いについて、政府は正しく理解しているのだろうかと思います」

 樋口さんが気にかかったのが、SNS上で「自己責任でフリーランスになったのだから、政府に補償を求めるな」といった意見がフリーランスの働き手からも見られたこと。

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