墓は寺などが運営する「寺院墓地」、自治体による「公営霊園」、宗教法人や財団などの「民間霊園」、さらに地域で管理する「共同墓地」や私有地にある「家墓」などに分けられる。寺院墓地は日常的な管理が行き届きやすいが、基本的にその寺の檀家になることが利用できる条件になっている。

 民間霊園は宗教法人などが運営していて、開発や販売に企業が関わっている。宗教や宗派に制限がないなど申し込みの条件は比較的緩い。寺院墓地の隣に設けられている場合もあって、特定の宗教や宗派にもとづいて管理されていることもある。

 ほかにも永代供養墓や納骨堂など弔い方は複数ある。

 都市部を中心に増えているのが、遺骨を専用施設で保管する納骨堂だ。厚労省によると、18年度は1万2839施設に達し、10年前から1割増えた。

 従来型の墓石を建てる墓よりも安価で、管理の手間もかからない。お参りするスペースに遺骨が運ばれてくる「自動搬送式」や、棚やロッカーに納めるタイプ、仏壇式などもあって、納骨堂といっても様々だ。

 葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子さんは、運営者や立地、タイプなどによって費用に幅があるのでよく確認すべきだという。

「納骨堂の価格の目安は50万~150万円で、一般の墓の100万~250万円に比べて安い。納骨堂は00年前後から急増し、最近は供給過剰気味だとも言われます。機械やシステムの維持・修理のために、管理手数料が将来上がることも想定されます。契約するときには、こうした点も確認しましょう」

 墓石の代わりに、樹木や草花を植えて遺骨を埋葬する「樹木葬」も人気だ。墓石を建てるよりも安く、「自然に還る」イメージもある。墓地登録をした山や林に埋葬する山林型や、霊園の一角に設ける庭園型がある。

 納骨堂や樹木葬には、最初から他の人と一緒に埋葬する合葬式墓所(合葬墓)の場合もある。

 はじめは他の人と区別されていても、5年や10年など一定期間が経つと、合葬墓に移されるところもある。

「個別に埋葬する期間や供養の方法、管理の仕方などは施設によって異なり、費用も幅広い。永代供養墓についてもはっきりとした定義はなく、施設によって扱いは異なるので、確認が必要です」(吉川さん)

 遺骨を粉末にして海などにまく散骨や、自宅に保管しておく「手元供養」などもある。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年3月20日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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