昨年11月、幹部の組長が六代目山口組の関係者に射殺されるなど、劣勢が続いていた神戸山口組。組長射殺事件当時は、臨時で幹部が集まるなど会合を重ねていたが、年が明けてからは、会合はほとんどやっていないとされる。

「特定抗争指定で、六代目山口組の襲撃など攻勢が止まったのは事実。神戸山口組も一息ついているように見える。だが、神戸山口組の中核組織で名門、山健組がこのまま、黙っているとは考えられない。ひそかに反撃のチャンスを狙って動いている連中が名古屋入りしているという情報もあるので警戒を強めている」(前出の捜査関係者)

 そして2017年4月に神戸山口組から分裂した任侠山口組は組名を「絆會」と変更したことを発表。こちらも、声明で<抗争事件の情勢を鑑みて(中略)代紋、組織名を「絆會」と改めた>としている。

 元山口組顧問弁護士の山之内幸夫氏は近著「山口組の平成史」(ちくま新書)で<ヤクザが「天国と地獄」を味わった平成>令和になっても<一番の課題は暴力団排除の環境をどう生き抜くか>と記す。そして特定抗争指定についてはこうコメントした。

「指定後、暴力沙汰などの力で抑え込む動きは止まった。今後、六代目山口組側は神戸山口組の有力な組長を切り崩し、取り込もうとするのではないか。事実、神戸山口組の2つの組が直参組長となっている。だが、一度火が付いた抗争がそう簡単に終わるとは思えない」

 落ち着いたようにみえた「抗争」。だが、1月20日には、神戸市の会社で銃弾の跡が発見された。近くには拳銃が置かれていた。

「神戸山口組幹部と関係が深いという情報もあり、捜査している」(前出の捜査関係者)

 予断を許さない状況が続いている。(本誌取材班)

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