



五輪イヤーの2020年1月2、3日に開かれる第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、「戦国時代」と言われる。東海大の2連覇か、青山学院大の雪辱なるか、学生最速ランナー・相澤晃(4年)を擁する東洋大が6年ぶりの王者奪還か、駒大が12年ぶりの復活優勝か、出雲駅伝を制した国学院大か――。5強による優勝争いの行方は、「東京五輪」がキーワードになるかもしれない。
5強の中で積極的な走りを見せそうなのが前回4位の駒大だ。その中心はスーパールーキーの田澤廉(1年)。10月の出雲駅伝では3区を走り、区間記録を上回る区間2位となった。11月の全日本大学駅伝では7区で4人抜きの走りを見せて区間賞を獲得した。1万メートルの持ちタイムは28分13秒21でチーム最速だ。
関東学生陸上競技連盟駅伝対策委員長の上田誠二さんはこう評価する。
「(監督の)大八木(弘明)マジックにかかって、めきめき力をつけています。ものおじしない、度胸もある」
その田澤に引っ張られるように、エントリーメンバーに1年生が計5人も入っている。
駒大関係者はこう話す。
「田澤を何区で起用するかが最大のテーマになるでしょうね。その田澤だけでなく、力を持っている1年生が入ってきたことも大きいです。1年生から4年生まで横一線で競い合う状態になったことで、全体の底上げができたと見ています。不調だった4年生がマネージャーとして支えていることも大きい。佐々木聖和君です。部を辞めずに支えてくれる上級生の存在。これが下級生の頑張りを引き出しています。雰囲気はとても良いです。本気で優勝を目指す一体感があります」
19年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制し、20年東京五輪男子マラソン代表に内定したOBの中村匠吾(富士通)の存在も見逃せない。
「駒大は、前回走った4年の山下一貴(前回2区)、中村大聖(同3区)、中村大成(同6区)、3年の加藤淳(同4区)、伊東颯汰(同5区)、小島海斗(同7区)の6人に田澤と3年の小林歩を加えた8人が中核であり、東海大や青山学院大にも引けを取らない力を持っています。練習法は変えていませんが、中村匠吾選手と一緒に練習していることで、いろいろと刺激を受けているのでしょう。もっと上を目指す気持ちが強くなりました」(前出の駒大関係者)
駒大は今季、出雲2位、全日本3位といずれも上位に食い込んだ。大八木監督は、
「目標は3位以内。(前回の4位から)一つでも上がっていきたい」
と控えめに語るが、潜在能力はトップクラスと言える。