一方、往路も復路も「1位を目指す」と強気に話すのが、東洋大の酒井俊幸監督だ。出雲は3位、全日本は5位。箱根では09年から3位以内をキープする抜群の安定感を誇るチームは今季、駒大同様に五輪内定選手から刺激を受けている。

 MGC2位で男子マラソン五輪代表に内定したOBの服部勇馬(トヨタ自動車)と、男子50キロ競歩五輪代表に内定した川野将虎(まさとら)(3年)の2人のことだ。

「彼らが非常に大きな刺激になっています」

 酒井監督はそう認める。

 チームを引っ張るのは、「花の2区」にエントリーされたエースの相澤だ。19年の箱根、出雲、全日本のすべてで区間賞を獲得。そのうち箱根(4区)と出雲(3区)では区間新記録を達成した。日本学生ハーフマラソンとユニバーシアードのハーフマラソンでも金メダル。日本選手権では5000メートル、1万メートルともに入賞を果たし、学生最速ランナーとして実績を積んできた。

 前回は往路優勝したものの、8区で逆転され、総合は3位にとどまった。

「勝負は、6、7、8区ですね」(酒井監督)

 1年前の反省を生かせれば、頂点に届きそうだ。

 駒大、東洋大の2校に対し、総合力では全日本を制した東海大が優位に立つ。大会新記録で総合優勝した前回は往路、復路ともに2位。今大会については両角速監督が「往路3位、総合1位。しっかり復路で巻き返す」とプランを掲げる中で、鍵を握る一人が前回1区で区間6位にとどまった鬼塚翔太(4年)だ。今回も1区にエントリーされた。

 夏合宿では、男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)と高地トレーニングをした。大迫はMGC3位。指定大会で日本記録を突破する選手がいなければ、五輪代表に内定する。

 鬼塚は言う。

「きつかったですが、大迫さんのストイックさをかなり肌で感じました。これだけ練習しないと、あれだけの結果は出ないのだなと実感しました」

 憧れの大迫と一緒に練習、生活をする中で、自分の甘い部分を見つめ直すきっかけになったという。

 両角監督の指導を受けた2人(大迫は長野・佐久長聖高時代)。一緒にトレーニングをすることになったのは、大迫からの誘いだった。

「大迫さんの方から一緒にやらないか、と言ってくれました。それだけ自分が評価されているのかなと」

 初対面は19年2月。レースで一緒になったことはあっても話したのはその時が初めてだった。最初のトレーニングは3週間。そして夏も一緒にやるということになり、鬼塚は多いに刺激を受けた。箱根では区間賞獲得を掲げる。その快走ができれば、東海大の2連覇がぐっと見えてくる。

次のページ
青山学院大は「往路3位、総合1位」を目指す