総合力でほぼ互角なのが青山学院大だ。15年から4連覇で前回は2位。今季の出雲は5位だったものの、全日本は2位だ。

「往路3位、総合1位」

 と、原晋監督は東海大同様のレース展開を狙う。

「1万メートルのチームエントリーの平均タイムと箱根駅伝の成績はある程度の相関関係がある、というデータが出ていますが、おかげさまで28分45秒37という20大学中1番のタイムに成長しました。1月2日、3日は、最後はやっぱり青山学院強かった、やっぱり4年生良かった、やっぱり青山学院を応援してよかったと、そんなふうなゴールシーンを大手町で皆様方にお届けしたい。やっぱり大作戦、大成功収めます!」

 他大学と同様に、選手たちは東京五輪代表を決めたMGCに刺激を受けた。

 吉田圭太(3年)は言う。

「箱根駅伝は通過点。将来の目標は、陸上を始めた時から五輪で勝負すること。MGCを見てからマラソン挑戦してみたいな、というのが芽生えてきたのでマラソンで五輪を目指したい」

飯田貴之(2年)はこう話す。

「将来の夢は、箱根から世界へという言葉があるが、フルマラソンで五輪に出たいと思っている。MGCを見て少し考えが変わって、トラックでの記録がないとマラソンでも勝てないというのが身に染みてわかった。まずは来季のトラックシーズン、関東インカレなどでしっかり結果を残すことに頑張りたい」

 そのためにも箱根で快走を見せたい。

 主将の鈴木塁人(4年)は王座奪還に自信をのぞかせる。

「前回はアンカーを走り、悔しい思いでゴールをしました。来年こそは優勝するという思いで1年間やってきました。最後は4年生の意地、キャプテンの意地を見せていい形で笑顔で箱根駅伝を終えて後輩たちにバトンを繋げられたらと思っています」

 今季の出雲を制して大学3大駅伝初優勝を果たした国学院大も侮れない。前回は往路3位ながら復路で失速し、総合7位に沈んだ。箱根での最高順位は、その7位だ。

 今季の全日本も7位にとどまった。だが、陣容は充実している。エースの浦野雄平(4年)の1万メートルの持ちタイムは28分25秒45。浦野を含むエントリーメンバー5人が28分台を記録している。

 前田康弘監督は、こう意気込む。

「往路優勝、総合3位。こう19年の1月3日に選手たちが決めたので、そこに向けて全力でトライしたいです」

 伝統校にも注目が集まる。10月の予選会を突破して出場を果たした早稲田大だ。13度の優勝を誇る。だが、前回は12位で、総合10位以内に与えられるシード権(予選会免除)を逃した。相楽豊監督は、こう語る。

「長い距離に強い早稲田、箱根に強い早稲田というのを体現できるように、競り勝つチームを掲げて目標達成できるように頑張ります。目標は3位以内です」

 主将の太田智樹(4年)、エースの中谷雄飛(2年)ら、1万メートル28秒台が5人そろう。総合力で勝負する。

 1万メートルの記録だけで見れば、エントリーメンバーの半数である8人が28分台という順天堂大も忘れてはいけない。8人というのは、青山学院大と同じだ。前回8位。優勝11度を誇りながら、近年は頂点から12年遠ざかっている。絶対的エースの塩尻和也が卒業し、今季は目立つエースが不在。やはり総合力で勝負する。目標は5位以内だ。

 新興勢力も見逃せない。創部9年目で全日本4位と躍進した東京国際大だ。全日本2区で13人を抜き、14位から先頭に立った伊藤達彦(4年)のほか、1万メートル27分台のイエゴン・ヴィンセント(1年)もいる。また、28分台の選手が4人。箱根は前回の15位が過去最高だった。今回は初のシード権獲得を目指す。

 中村匠吾や服部勇馬も駅伝から羽ばたいていった。「将来の五輪選手」によるしれつな争いは、どの区間も一瞬たりとも見逃せない。(本誌・上田耕司、大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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