岸田文雄氏
岸田文雄氏
2020年の顔 1/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 1/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 2/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 2/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)

 以前から安倍晋三首相の後継者として名前が挙がる岸田文雄氏だが、明確な意思表示をしたイメージは薄い。前回2018年9月の総裁選を断念したのも、「禅譲」を期待し、安倍支持にまわったとの見方が強い。

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「禅譲という制度はありません。総裁選を戦わないと総裁になれないということはどんな状況であれ、変わりはありません。ぜひ私もその一人として、総裁選に臨みたいと思っています」

 安倍首相の4選の声が出ていることにはこう述べた。

「今の党のルールは3選までとなっています。それを前提に考えるべきだと思いますし、それが全てだと思います」

 気になるのは最大のライバルだが。

「わかりません。そもそも、総裁選がいつあるのかわかりませんし、実際、手を上げるのが誰かもわからない。今から他人のことを言うのはちょっと難しい」

 岸田氏の地元は広島県だが、他の地域でも後援会が発足している。総裁選での地方の党員・党友票獲得を考えてのことなのだろうか。

「地方の後援会は準備中を含めれば10を超えます。たしかに、みんな総裁選は意識していると思います。ただ、いろんなご縁で地方に人脈ができて、応援してやろうということで、後援会を作ってくださっています。経済界から声がかかったり、議員が努力をしてくれたりと、いろいろなケースがあります」

 岸田氏は宏池会の会長だ。宏池会は軽武装、経済重視の現実路線と言われる。もし、岸田政権が誕生したら、何を目指すのか。

 「この7年間、金融政策、財政政策を中心に取り組み、経済はGDPをはじめ活力を回復してきました。これを持続させるためには、本格的に経済の成長戦略を進めなければいけない。経済の成長力をしっかり引き出したい」

 先進国の中で最悪と言われている日本の財政事情については、
「デフレからの脱却は大事ですが、合わせて経済の効率や生産性を高める必要がある。大企業では内部留保がたまっていき、給料に下りてこない。成長することは大事だけど、その果実を賃金として、また地方へと分配することはもっと大事」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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広島県出身の政治家として