こうなると、第三者委もまた「名ばかり」になるのかと思いきや、委員長についたのは、関西検察とは距離がある元検事総長の但木敬一氏だった。

「土肥氏のほうが但木氏より10歳ほど年上。だが、バリバリの現場派の土肥氏に対して、但木氏は通称・赤れんが派の法務官僚育ち。司法改革を推し進めた人物。関西検察などとはまったく関係がない。関西検察を通じて、関電がお目こぼしを頼めるような相手ではない」

 こう話すのは、検察裏金を告発した、大阪高検公安部長だったこともある三井環氏だ。

「社内でも第三者委に呼ばれた人は何人かいます。『取り調べかと思うくらい、厳しく聞かれた』『正直に話すようにと諭された』などという話が聞こえてくる。第三者委の聴取の予定がある幹部は『ヤバそうだ』と恐れていた。これまで森山氏やその周辺から金品をもらったり、食事をごちそうになったりしても黙っていた人は少なからずいるようです。事情聴取で金品をもらったと話している人もいるそう。調査によっては新たな問題が出るかもしれません」

 第三者委は12月中に中間報告を公表し、年明けには調査報告書をまとめる考えだ。スピードも大切だが、求められるのは「徹底した真相究明」だ。(今西憲之)

週刊朝日  2019年12月27日号

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大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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