日南町は人口が約4600人とピーク時の3割程度まで減った。人口の半数超が65歳以上で高齢化が進む。結局、鳥取銀行の生山支店は今年1月、約20キロ離れた隣町の根雨支店内に移転した。ATMは町内に残ったが、手続きのために車で遠い支店に通うのは高齢者には負担だ。鳥取銀行生山支店の閉鎖に対しては、町議会も次のような要望書を出した。

「日南町は高齢化率が50%を超えており、ATMの操作もままならず、窓口が廃止され機械での操作を余儀なくされることに大きな不安があります。また、窓口は振り込め詐欺防止の役割もあり、高齢者が安心して預貯金をするためには対面での対応が必要であると考えます」

 銀行が経営を効率化するには、ほかの銀行と経営統合し、重複する店舗や人員を減らすのが手っ取り早い。

 地盤としていた地域を超える統合や提携もある。規模を拡大し、営業範囲も広げて生き残る戦略だ。

 小売業やネット関連企業などと、業態を超え提携する動きもある。

 不動産の不正融資が発覚したスルガ銀行(静岡県沼津市)は経営が悪化。家電量販のノジマ(横浜市)の傘下で再建を目指す。

 福島銀行(福島市)は、ネット金融大手のSBIホールディングス(東京)と資本・業務提携すると11月11日に発表した。18年3月期決算が7年ぶりに赤字になり、金融庁から業務改善命令を受けて、経営改善を急いでいた。限界が来ているビジネスモデルを変えるには、ネットに強い企業との提携が必要だった。

 フィンテックを活用することで、サービス向上や業務効率化によるコスト削減が見込めるという。フィンテックとは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。金融と情報技術を結びつけることで、スマホによる送金など、さまざまなサービスが生まれる。

 金融業界では新技術を活用したサービスが広まっている。人手がかからなくなり業務を効率化できるが、窓口業務がさらに縮小される可能性もある。

 スマホを駆使できる人は、便利なサービスを享受できる。例えば外部業者と銀行のデータ連携が簡単になるオープンAPI。暗証番号をいちいち入力しなくても、口座と連携した家計簿アプリなどが使えるようになる。

 大垣共立銀行(岐阜県大垣市)とネット専業の楽天銀行(東京)は、オープンAPIで提携すると11月14日に発表。大垣共立銀行の預金者は楽天銀行のスマホアプリを通じて、宝くじの購入などができるようになる。大垣共立銀行の境敏幸頭取は会見でメリットを強調した。

「システムを自前で開発するより提携するほうが、新たなサービスを展開しやすい。リアルとネットを組み合わせ、さまざまなサービスを提供していきたい」

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