【銀行難民にならないための10カ条】


●自宅から近い金融機関を探す
メガバンクや地方銀行の支店がなくても、信用金庫や信用組合、郵便局や農協などの窓口がある。現金の引き出しや振り込みなど、銀行とほぼ変わらないサービスが受けられる。

●預金口座が複数ある場合は、できるだけまとめる
預金額に応じてATMの時間外手数料が0円になるなどのサービスが受けられる。口座がばらばらだとお金の出し入れが管理しにくく、相続時にも手間がかかる。

●公共料金やクレジットカードなどの引き落としも、できるだけまとめる
一つの預金口座に集約すれば支出がわかりやすく、管理が楽。預金残高が足りないことに気づかず、引き落としができなくなるリスクも減る。

●高齢者向けのサービスをフル活用
年金を受け取る口座に指定すれば、ATMの時間外手数料が0円になったり、定期預金の金利が上乗せになったりするところも。取引内容に応じてポイントがたまるサービスもある。

投資信託などの金融商品も検討
定期預金に入れても金利はほとんどつかない。投資信託などの残高に応じて、サービスを受けられる金融機関が増えている。投資にはリスクもあるので、元本割れには要注意。

●窓口での振り込みは減らす
手数料が高めで、取引にも時間がかかる。近くのコンビニのATMでも振り込みはできる。定期的な振り込みは、自動送金サービスを利用する。ネット取引ができれば、スマホで手軽に振り込める。

●キャッシュカードの引き出し限度額を引き上げる
防犯のためATMの引き出し額は1日あたり50万円ほどに制限されている。大口の引き出しが定期的にある人は、限度額引き上げを検討する。振り込め詐欺にはくれぐれも警戒。

●キャッシュレス決済に慣れよう
現金を使うことが減れば、お金を引き出す頻度を減らせる。ポイントサービスも受けられ、生活費も節約できる。最大5%分が還元される国のサービスも来年6月まで実施されている。

●休眠口座にするな
10年以上出し入れがないと休眠口座として扱われる。払い戻しはできるが、手続きなどが面倒になる。一定期間利用がなく残高が少ない口座から手数料をとる銀行もあり、知らないうちに残高がゼロになり解約される恐れも。

●高額の現金は自宅に置かない
引き出しにくくなるからといって現金をため込むのは危険。少しぐらい手数料がかかっても、銀行に預けたほうが安心なこともある。キャッシュレス決済なども活用して、不要な現金は減らそう。

 これまで当たり前のように受けてきたサービスがなくなるのは、銀行に限らない。少子高齢化が進み、過疎地から小売店やガソリンスタンド、タクシー会社などが消えようとしている。

 企業は生き残るためには、不採算分野を切り捨てることをいとわない。ネット取引をできるようにするなど、私たち自身が備えていく必要がある。(本誌・浅井秀樹、池田正史、多田敏男)

週刊朝日  2019年12月6日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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