生田斗真「俺の話は長い」は屁理屈三昧…でも温かいのはなぜ? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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生田斗真「俺の話は長い」は屁理屈三昧…でも温かいのはなぜ?

連載「てれてれテレビ」

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カトリーヌあやこ週刊朝日#カトリーヌあやこ
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

イラスト/カトリーヌあやこ

イラスト/カトリーヌあやこ

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「俺の話は長い」(日本テレビ系 土曜22:00~)をウォッチした。

*  *  *
 口喧嘩(げんか)だけは誰にも負けない31歳無職・岸辺満(生田斗真)。30分×2本というサクサクした構成で、これといった事件が起こるわけでもなく、ただめんどくさい男の日常が描かれる。

【今週のイラストはこちら】

 大学中退後、開いたカフェは失敗。以来、実家(昔ながらの喫茶店)で母・房枝(原田美枝子)に寄生中。

 働かないまま早6年、普通は後ろめたいはず。しかし満の、自己を正当化する屁理屈(へりくつ)力がハンパない。

 いわく「働く気のない人間に上から目線で働くことを強要して逆に恥ずかしいと思わない?」。

「動物園のライオンは戦ってないように見えて野生のライオンより戦ってんの。客に笑われて指さされながら毎日夢と孤独の狭間(はざま)で戦ってんだよ!」

 もうええわ。相手の気力をおろし器ですりおろすような見事な詭弁(きべん)。いっそ聴き入ってしまう。

 姉・綾子(小池栄子)からつぶれたカフェのグッズが入った段ボールを捨てろと言われれば、「負けた高校球児に『甲子園の土を捨てろ』と言えるのか」と絡む。

 母の喫茶店で、ハロウィンメニューを出すと聞けば、「昭和生まれの人間は全員ハロウィンが嫌いなはず」と難クセをつける。ハロウィンなんかやっちゃダメ。「後戻りできないって意味では、ハロウィンもヘロインも同じだからね!」

 もう、ちょっと何言ってるかわからない。ひたすら繰り出される屁理屈と共に、もうひとつこのドラマを彩るのは、どこかやさしく温かいメニューの数々だ。

 それは、満が毎朝母のために淹れる本格的なコーヒー。学校に行きたくない姪(めい)・春海(清原果耶)のために作るカレー味の焼きそば。亡き父の好物・酢豚のタレをかけたチャーハン。

 母と姉家族と囲む食卓は、昔ながらのお茶の間だ。畳に座って食べる朝ごはん。物干し台でなめるアイス。

 喫茶店のカウンターに集う近所のおじさんたち。

 それはみんな懐かしい原風景で、まるで子供の頃見ていたアニメの中の世界のよう。だから、どんなに満が屁理屈をこねても、よく知ってるあの家族のあのコのように思えて、「しょうがねぇな」と笑ってしまう。

 走る電車の中から眺める窓の外、流れる景色の家々に明かりが灯(とも)る。そのオレンジの光ひとつひとつに家族があって、なぜかふっと寂しくなる。そんな夕暮れのようなドラマなのだ。

週刊朝日  2019年11月22日号


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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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