「値段が安く、中高生のお小遣いでも買えます。裁判をして取り戻すにしても、弁護士を立てても金額的に割に合いません。うまいところを狙っています。彼らは違法ともいえない、すれすれのところでやっています。青汁王子の場合は100億円規模で儲けて、なおかつ脱税までしています」

 こうした業者の広告では一般的に、「お試し」の部分が目立つような表示手法をとっている。これを「強調表示」と呼ぶ。それに対して、定期購入といった隠れた条件は「打ち消し表示」という。

 打ち消し表示については、消費者庁が17年に実態調査をした報告書がある。

 例えば、動画広告では強調表示と打ち消し表示が同時に表示されるものが72%、打ち消し表示が後・別画面に表示されるのが20・3%だった。スマホ広告では同一画面内が84.5%、打ち消し表示がスクロールの必要な場所にあるのが13.6%となっている。お試しは定期購入が条件になる、と同一画面で表示する業者は少なくなく、悪質業者は全体の一部かもしれない。だが、根絶は容易ではない。

 悪質業者については、もう一つの問題がある。解約がしにくくなっていることだ。

 通販業界特有の慣行として、解約は、定期購入で次回の商品が届くまでの一定期間内に電話で受け付けていることが多い。一方で、解約を申し出ようにも電話がつながらない、という苦情が少なくない。

 解約の申し出をメールなどでも受け付ければ問題は解決しそうだが、ある業界関係者はこう話す。

「電話でのみ受け付けることが多いのは、考え直してもらうように説得したいからです」

 さらに、この関係者は指摘する。

「最近は新しい会社が多くなっており、コールセンターを外部に委託することが増えています。商品がひとたびヒットすると、電話がつながらなくなることも少なくありません」

 悪質業者は、こうしたことを巧みに利用しているようだ。

 消費者としては、「お試し」がなぜ安いのか、より慎重に契約内容を吟味する必要がある。口コミなどの評判もチェックし、広告の強調表示だけに目を奪われないようにくれぐれも注意したい。当局の対応が十分とはいえない現状では、そうした自衛策しかなさそうだ。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2019年11月15日号