相続の「きょうだい格差」 遺言が不幸を招くケースも (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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相続の「きょうだい格差」 遺言が不幸を招くケースも

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森田聡子週刊朝日
※写真はイメージです (Getty Images)

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【ケース】古風な考えの父親が婿養子に財産の大半を渡す (週刊朝日2019年11月8日号より)

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【ケース】クリニックを継いだ兄 医学部学費は特別受益? (週刊朝日2019年11月8日号より)

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 戦後70余年で日本の相続は長男が全財産を承継する「本家相続」から、兄弟姉妹が平等に相続する「均分相続」へと変化してきた。とはいえ、親の財産は子どもの人数できれいに割り切れるものではないし、親の意向で特定の子どもの取り分が多くなることもある。気を付けたいのは、均分相続で子ども一人ひとりの権利意識が高まる中、特定の子どもへの過度な援助が“争続”やトラブルの引き金になりかねないことだ。実例を2つ報告しよう。

【ケース1】古風な考えの父親が婿養子に財産の大半を渡す

■古風な考えの父親が婿養子に財産の大半を渡す

 プログラマーの女性(54)の生家は代々の地主。所有地の大半は手放してしまったというが、今なお首都圏に約2千坪の自宅を構える。女性は3人姉妹の次女で、五つ年上の姉が婿を迎えて実家に住んでいる。

 父親は古風な考えの持ち主で、結婚直後に婿と養子縁組をして家督を継がせている。女性の義兄に当たるその男性は実直なエンジニアで、父母とも良好な関係を保っていた。

 問題が生じたのは父親が亡くなったときだ。弁護士が持参した父親の遺言状には、「不動産は婿名義に書き換え、預貯金は婿と長女で折半する」と記されていた。姉妹は結束して抵抗したが、「お父さんが決めたことだから」という母親の言葉に押し切られ、女性と一番下の妹は不本意ながらも相続放棄の手続きをした。

 しかし、それから2年ほどして母親が亡くなると、義兄の様子が一変する。親戚中の鼻つまみ者だった叔父と一緒に怪しいビジネスに手を染めるようになったのだ。姉妹が気づいたときには既に、実家に抵当権が設定されていた。ビジネスの詳細は、同居する姉も一切知らされていなかったという。

 先祖代々伝わる大事な土地が、人手に渡ってしまうかもしれない。「父の相続のときに私たちも遺産を分けてもらっていたら」。女性は今、悔やんでも悔やみきれない気持ちだという。

「仮に実家が競売にかけられるようなことがあっても、所有権のない3姉妹には何ら法的対抗措置を取ることはできません」と言うのは、東京都相続相談センター代表理事で司法書士の坂本知昭さん。

 これは、遺言で父親の思いが強く出た結果、遺族がそれに振り回された典型的な例だと指摘する。

「遺言の内容が理不尽だと感じたのなら、この女性や下の妹さんは、相続放棄でなく、遺留分の減殺請求をすることもできました。また、父親の相続の際は義兄との関係も良好だったということで、相続人全員で話し合って遺言を執行しないという選択をすることも可能だったのです」(同センター理事で相続コンサルタントの佐藤雄樹さん)


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