だが、心配なことがある。新天皇の次の世代の皇室の男性は悠仁さま一人しかいない。ほかは、数が多くはないが、すべて女性である。女性宮家を認めないと、皇室が消滅してしまう恐れがある。

 日本人にとって皇室はなくてはならぬ存在で、安倍首相もそのことはもちろんよくわかっているはずだ。

 だからこそ、令和になれば、そのことの審議を始めることになっているのである。

 そして、女性宮家の審議を行うということは、当然ながら議論は女性天皇にまで及ぶことになる。

 明治以前には8人の女性天皇が実在していたのである。明治以降、女性天皇が登場しなくなったのは、天皇は「陸海軍を統帥する」大元帥であり、女性は兵役に就けなかったからであった。

 今、自衛隊には女性も参加できる。

 それに、現憲法で男女同権となり、女性の参政権が認められたのである。

 現憲法が発布されるまでは、女性は選挙権も被選挙権もなかったわけだ。

 男女同権になったからには、女性天皇、いや女系天皇を否定する根拠はなくなる。
 少なくとも、女性宮家、そして女性天皇についての審議を引き延ばさずに行うべきである。

 国民の多くは、それを求めているはずである。

週刊朝日  2019年11月1日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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