増税のことを取り上げるなら、それをやったらどうなるかだろ。テレビを見ている多くの視聴者にとって、辛い現実がやってくるという話だろ。

 でも、そういうことはほぼやらなかった。宣伝費をもらったからか?

 てか、消費税が本当に必要だと多くの国民を納得させる説明ができるのなら、宣伝費なんていらんのよね。安倍首相が前に出てきて、国民に説明をしたらいいわけで。

 マスコミがあたしたちの味方なら、安倍首相にそう訴えたわな。それは無理でも、消費税の真実は伝えた。

 宣伝費は税金。多くの人間が出した血税だ。それで簡単に儲(もう)けることに、なんらためらいはないのだろうか? 正義のマスコミってのはもはや死語?

週刊朝日  2019年10月18日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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